「ダイエットで食事制限したいけど・・・どんな食べ方をすればいいかわからない・・・」
という悩みを抱える人は、たくさんいらっしゃいます。
私が理学療法士としてダイエットを指導する時、病気の治療としてダイエットが必要な方の食事指導は、栄養士が行いますから何の心配もいりません。
入院している方なら、出された病院食だけをちゃんと食べれば良いだけですし、通院の方でも栄養士や看護師が食事指導をしてくれて、受診のたびに食事内容をチェックされますから、そんなに考えなくても良いのです。
しかし、病気でダイエットをする訳ではなく、自分の意志でダイエットをしたい方は、医師や栄養士の食事指導は受けられませんから、自分で食事を管理するしかありませんので、私が書籍などの紹介を含めてアドバイスをします。
しかし、「自分でカロリー計算なんてするのは難しいな…」と、言われる方がたくさんいらっしゃいます。
私も最初にダイエットを始めた頃は、カロリー計算をするために本を買って、食事のたびにいちいちカロリーを計算して食べていましたが、すぐに面倒くさくなってやめてしまいました。
でも、ダイエットの研究をすすめていくうちに、普通の食事でも食べる順番を変えるだけで、効率の良いダイエットが実現できるのがわかったのです!
今回は、実際に私自身がダイエットで実践し成功した効率の良い食事制限を、管理栄養士に監修してもらった上で医学的に解説します。
この記事を最後まで読むと、医学的に効率の良い食事ができて、面倒なカロリー計算や極端な食事制限をしなくても、ダイエットを成功できるようになります!
ベジタブル・ファーストはもう古い!最新の食べ方はプロテイン・ファースト!

ダイエットで勧められる食べ方に”ベジタブル・ファースト”という言葉を聞いた事があると思います。
ベジタブル・ファーストとは、ダイエットで食事をする時には野菜をいちばん先に食べる方が良いという食べ方です。
確かにベジタブル・ファーストには、
- 空腹感を満たす。
- 食物繊維で血糖値の上昇を緩やかにする。
という2つのメリットがありますが、今ではもう古い理論です。
最新の医学では、タンパク質をいちばん先に食べるという”プロテイン・ファースト”が常識となっています。
タンパク質を先に食べるという食べ方は、関西電力医学研究所の清野裕所長と岐阜大学大学院医学系研究科の矢部大介教授らの研究グループが提唱した「食べる順番」に重点をおいた、ダイエット効果に優れた食事指導から生まれた食べ方です。
タンパク質を先に食べることのメリット

それでは、タンパク質を先に食べるプロテイン・ファーストには、どんなメリットがあるのか?から解説していきます。
タンパク質を先に食べることのメリットには、
- 食欲を抑制する効果
- 代謝を上げる効果
- 筋肉量を維持する効果
の3つの効果があり、ダイエットとしてかなり効率の良い食べ方なのです。
それでは、ひとつずつ解説していきます。
食欲を抑制する効果
タンパク質を先に食べることは、食欲を抑制する効果があります。
炭水化物や脂質は、比較的早く消化されてしまい、すぐに空腹感を感じることがありますが、タンパク質は消化に時間がかかるため、満腹感を持続させられます。
そのため、タンパク質を先に食べることで、食事全体のカロリー摂取量を抑えられるのです。
また、タンパク質は消化される過程でアミノ酸に分解されますが、アミノ酸はGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)と、CCK(コレシストキニン)というホルモンの分泌を促進しますし、肉類の中に含まれる脂質でインクレチンというホルモンの分泌も促進されます。
これらのホルモンは、食欲を抑える働きがありますので、タンパク質を先に食べる事で食べ過ぎを防げるというわけです。
特に、GLP-1はアメリカ・ヨーロッパでは肥満治療薬としても承認され、高いダイエット効果を上げているホルモンです。
さらに、アミノ酸は脳内の神経伝達物質であるセロトニンの原料となります。
セロトニンは、満腹感や幸福感を促す働きを持つ神経伝達物質ですので、タンパク質を先に摂取することでセロトニンの分泌が促進されやすくなり、満腹感を得やすくなって食事の量を減らせるようにもなります。
実際にダイエットを始める前の私は、ごはんやパン等の炭水化物を一番多く食べなければ落ち着かなかったのですが、プロテイン・ファーストの食べ方をするようになって、炭水化物を食べる量がかなり減りました。
代謝を上げる効果
ダイエットの食事で、タンパク質を先に食べる事は代謝を上げる効果もあります。
タンパク質を食べると、食べたタンパク質が消化され小腸で吸収されますが、タンパク質は消化に時間がかかるため、食べたタンパク質を消化吸収するためのエネルギーとして、摂取したカロリーの約20〜30%も使われます。
また、人間は何もしないで動かずにいてもエネルギーを消費するのですが、これを”基礎代謝”と呼びます。
この基礎代謝は筋肉の量で増減しますので、筋肉の量が少ない人と比べて筋肉の量が多い人は同じ活動量でも、より多くのカロリーを消費します。
タンパク質を先に食べることでタンパク質を少しでも多く摂取できれば、筋肉量が多くなって基礎代謝量を上げることができ、結果的に多くのカロリーを消費できる痩せやすい身体になります。
さらに、タンパク質は糖質や脂質と比較して、血糖値の上昇を緩やかにする効果がありますので、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
血糖値の急激な上昇が起こると、糖を細胞の中に吸収させるインスリンというホルモンがドバっと出て、脂肪の蓄積を増やす事になりますので、タンパク質を先に食べることで、血糖値の上昇を緩やかにし、脂肪の蓄積を抑えることができます。
筋肉量を維持する効果
タンパク質は、筋肉を維持するために最も必要な栄養素です。
そのため、ダイエット中にタンパク質を摂取することで、筋肉の量を維持しやすくなります。
ダイエットの食事制限によりタンパク質が不足すると、身体は筋肉を分解して、生命維持に必要なタンパク質を補おうとし始めるため、筋肉量の減少が起こります。
上記でも説明したように、筋肉は代謝としてエネルギーを消費していますので、筋肉が減少するとエネルギーの消費が減り、太りやすくなってしまいます。
他の食べ物でお腹いっぱいになる前にタンパク質を先に食べて、できるだけたくさんタンパク質を摂取する事で筋肉の量を多くできれば、太りにくい身体を作れるというわけです。
タンパク質を先に食べる時の食事の工夫

タンパク質を先に食べることがダイエットに効果的であることが分かったところで、具体的にどのような食事の工夫をすることができるのかをご紹介します。
まず基本的に、朝食にタンパク質をしっかりと摂ることが重要です。
朝食には、卵・ヨーグルト・チーズ・豆類・ナッツ類などのタンパク質を含む食材を取り入れるようにしましょう。
もちろん、食事の際にはこれらのタンパク質を先に食べるようにします。
具体的には、まずタンパク質を含む食品を食べ、その後に炭水化物や脂肪分を摂るようにします。
できれば、タンパク質→野菜→炭水化物という順番で食べれば、プロテイン・ファーストにベジタブル・ファーストの効果も加わるため、ダイエット効果はさらに高くなります。
また、昼食や夕食でもタンパク質を多く含む食材を工夫して取り入れることも大事です。
タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あり、身体の中でこの20種類が全て揃わないとタンパク質を合成できません。
食材で摂取できるアミノ酸の種類が変わりますので、アミノ酸をバランス良く摂取するためには、いろいろな食材を組み合わせる食べ方をするのが大切です。
例えば、サラダには豆類やナッツ類を加えることで、タンパク質を増やすことができますし、肉や魚を使った料理には大豆製品や乳製品を加えることで、アミノ酸の種類をバランス良く摂ることができます。
どうしても食事の準備に時間を割けない時は、タンパク質を効率的に摂るために、プロテインなどを利用してもOKです。
プロテインを摂取する時は、必須アミノ酸が配合されたプロテインを使う事をおすすめします。
必須アミノ酸の多い食材

必須アミノ酸とは、アミノ酸のうち人間の体内では作ることができない種類で、体内で作る事ができないため食事から摂取する必要があるものの事です。
必須アミノ酸は、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン、ヒスチジンの9種類あります。
ダイエットで、タンパク質を先に食べるプロテイン・ファーストの効果を高めるためには、この必須アミノ酸が含まれたタンパク質の多い食材を選ぶことが重要です。
以下に、必須アミノ酸の多い食材を紹介しておきます。
引用:独立行政法人 農畜産業振興機構
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_001367.html
鶏肉
鶏肉は、低脂肪でありながら必須アミノ酸をバランスよく含んでいるため、タンパク質を摂取するのに最適な食材の一つです。
皮を取り除くことで、カロリーや脂質の摂取量を減らすことができます。
チーズ
チーズには、9種類の必須アミノ酸が全て含まれている宝石箱のような食品です。
消化吸収も良く、必須アミノ酸を摂取するのに大変適した食べ物です。
ただし、カロリーが高いため、食べ過ぎには注意しましょう。
牛乳
牛乳は、必須アミノ酸をバランス良く含んでおり、コップ2杯分で1日に必要な必須アミノ酸量を摂取できます。
飲んでも良し、料理に使っても良し、いちばん必須アミノ酸を摂取しやすい飲み物です。
卵
卵のタンパク質には、高品質の必須アミノ酸が豊富に含まれています。
黄身には脂質やコレステロールが含まれているため、ダイエット中は白身を多く摂るようにしましょう。
魚介類
魚介類には、必須アミノ酸が豊富に含まれています。
特に、マグロ・サンマ・イワシなどの青魚は、EPAやDHAといった必須脂肪酸も豊富に含んでおり、健康的なダイエットに適しています。
かつお節にも必須アミノ酸が多く含まれていますので、大豆製品や野菜にかけて食べると美味しく摂取できます。
牛肉・豚肉
牛肉や豚肉にも、必須アミノ酸が豊富に含まれています。
ただし、牛肉・豚肉は鶏肉と比べて、脂肪やカロリーが多いため、適量を考えながら摂取するようにしましょう。
大豆製品
大豆製品には、大豆たんぱく質が豊富に含まれています。
豆腐や納豆、豆乳などの食品は、低脂肪でありながら必須アミノ酸をバランスよく含んでいるため、ダイエットに適しています。
これらの食材をバランスよく食事に取り入れることで、必要な必須アミノ酸を多く含んだタンパク質を効率的に摂取することができます。
理想的な食材の組み合わせ

タンパク質を先に摂取することが、ダイエットに効果的であるということはわかっていただけたかと思いますが、タンパク質を先に食べる食事として理想的な食材の組み合わせもいくつかご紹介しておきます。
卵料理に野菜を加える
卵は、多数の必須アミノ酸が含まれたタンパク質の宝庫であり、野菜には食物繊維が豊富なため、一緒に摂ることでベジタブル・ファーストとプロテイン・ファーストのダブル効果が得られます。
また、朝食にたんぱく質を多く摂ることで、満腹感を満たして余分なカロリーを摂らずに済み、代謝を上げて一日のエネルギー消費も増やすことができます。
私は、オムレツに人参・玉ねぎ・トマト・ピーマンなどの野菜を加えて作ったり、目玉焼きを食べる時には、キャベツ・もやし・ブロッコリーなどを蒸し野菜にして添えて食べていましたが、野菜をたくさん加える事で大盛りになり、朝食なら十分満足できる食事になっていました。
鶏むね肉とサラダを一緒に食べる
鶏むね肉は低脂肪で高たんぱく質であり、サラダには野菜の食物繊維が豊富に含まれています。
余談ですが、鶏むね肉にはイミダペプチドという物質が多量に含まれています。
このイミダペプチドは、細胞の損傷や活性酸素を抑える働きがありますので、疲労回復や疲労の防止に効果があると言われています。
タンパク質と野菜を一緒に食べることで、満腹感を得ながら、カロリー制限を実践することができます。
最も簡単なのは、コンビニでサラダとサラダチキンを買って一緒に食べる事です。
私は、このサラダとサラダチキンの組み合わせを、昼食としてコンビニで買ってよく食べていました。
夕食だと物足りないですが、昼食ならこれだけでも何とか満足できましたし、時短にもなって便利な食べ方でした。
豆腐と魚を一緒に食べる
豆腐のタンパク質は、必須アミノ酸が多く含まれた高品質なたんぱく質ですし、魚にも必須アミノ酸が多く含まれていますので、豆腐と魚を一緒に食べることで、プロテイン・ファーストの効果が高くなります。
また、魚にはEPAやDHAなどの必須脂肪酸が含まれており、健康的な食事になります。
魚も豆腐も好きな私は、よく夕食で豆腐と魚を入れた味噌汁や厚揚げと魚の煮物なんかを食べていました。
サバ缶と豆腐の卵とじなんかは、5分で簡単に作れる上にめっちゃ美味しいので、夕食を作るのが面倒くさい時はかなり助かっていました。
この他にも、タンパク質メインの料理はたくさんありますので、以下のクックパッドのメニューを参考にして食べてみて下さい。

以上のように、タンパク質を先に食べる食事は、複数のたんぱく質食材と野菜を一緒に食べることで、必須アミノ酸や食物繊維を十分に摂取しながら満腹感もあり、健康的なダイエットができます。
プロテイン・ファーストの注意点

プロテイン・ファーストの食事は、面倒なカロリー計算や厳しい食事制限をする必要はありませんが、カロリーの高そうな食べ物・甘いもの・油の多い食べ物をたくさん食べてしまわないように注意しましょう。
また、タンパク質を多く食べる事がダイエットに良いといっても、ビタミン・ミネラル・炭水化物・脂質など、他の栄養素とのバランスがとても大事なのは忘れないで下さい。
ビタミンやミネラルは、免疫力を強化したり、骨・血管・神経・眼などの健康を保つ役割りがあります。
炭水化物は身体のエネルギー源として重要な栄養素ですし、タンパク質を身体の中に取り込む役割としても必要な栄養素です。
脂質は細胞膜の構成やホルモンの合成など、身体の機能に欠かせない栄養素です。
まとめ
食事の時には、タンパク質を先に食べるプロテイン・ファーストがダイエットに効果的なのがご理解いただけたかと思います。
私は、食べる事が人生で一番の楽しみでしたので、ダイエットの食事制限は苦痛どころか生きている意味さえ見失うような思いでした。
でも、このプロテイン・ファーストの食べ方を半信半疑で試してみたところ、普通の食事でも食べ方の順番を考えただけで、自然に食べる量が減ったんです。
食べる量が減っても、意外と満足感は得られてダイエットを続ける事ができました。
だまされたと思って、今回ご紹介した必須アミノ酸が含まれた高品質なタンパク質の多い食べ物を上手に使って、プロテイン・ファーストを試してみて下さい。
ただ、一番大事なのは食事だけでなく、運動もタンパク質の代謝を高めるために重要な事は知っておいて下さい。
適度な運動を取り入れることで、脂肪の燃焼を促すこともできますし、筋肉量を増やして代謝を上げることができ、ダイエット後で一番恐ろしいリバウンドも防ぐ事ができます。
ダイエットに必要な運動習慣を定着させる方法も記事にしていますので、興味がある方はご参照下さい。

今回ご紹介したような医学的に効率の良い食事制限を実践すれば、健康で効率良くダイエットを成功させる事ができます。
そんな、医学的に効率の良いダイエット法をこれからも発信していきますので、楽しみにしていて下さいね♪



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